【不動産経営者必見】費用対効果とROI抜群のリノベーションはフローリング

不動産経営者にとってリノベーションとは避けては通れない道の一つです。古臭く清潔さがない部屋ではやはり集客力は弱く、大なり小なり投資をして魅力的な物件を提供することが空室対策に直結します。

しかしそうなると、その投資代金を償却するまではどうしてもキャッシュフローに負担がかかる日々が続きます。だからこそ戦略的に、そして勝算を持った上で比較的リスクの少ないリノベーションを実施できるかどうかが肝となります。まさに経営者の手腕が問われる決断と言っても過言ではないでしょう。

今回のコラムでは、不動産経営者のキャッシュフローを少しでも改善するために、各リノベーション箇所の候補を費用対効果とROIの観点から紐解き、徹底分析します。

費用対効果とROIともに1位はフローリング、2位がキッチン

結論から述べると、費用対効果もROIも堂々の第1位はフローリングで、2位がキッチン、少し差が開いて3位は洗面台となりました。そしてここから、何故フローリングの費用対効果とROIが最良なのか、試算の過程も含めて順を追って説明していきます。

費用対効果とROIとは

費用対効果とROI(Return of Investment)とは、投資した額に対してどれだけの見返りがくるか、どれだけの効果を得られるかという考え方です。その根本は同じですが、トリッキーなのは計算方法と結果がやや異なることです。

コストパフォーマンスとROIの計算方法

費用対効果の場合、例えば仮に5万円をリノベーションに投資して、収益30万円を達成した場合は費用対効果が25万円です。もし同じ投資をROIで計ろうとした場合、600%となります。どちらも投資額(費用)に対してどれだけの効果を得られたかを表す点は同じですが、費用対効果は金額ベースなのに対し、ROIはパーセンテージで表されます。

リノベ箇所の費用対効果とROIの計算方法

上述した計算方法をリノベーションにあてはめるのは実は簡単ではありません。理由は、収益を具体的な数値で表すことが非常に難しいからです。例えキッチンをリノベした後に満室となりキャッシュフローが改善したとしても、それが明確にキッチンのリノベによる効果だとは断言できません。近隣に大きな会社や大学ができたり、都市開発が進んで立地の利便性が上がったことが偶然、満室に貢献した可能性を否定できないからです。

そこで、ここでは次のルールの基、各リノベーション箇所の費用対効果とROIを箇所別に比較したいと思います。

  • 費用対効果の費用の測定方法:施工費
  • 費用対効果の効果の測定方法:入居希望者からの人気の高さ(%)

入居希望者から人気が高ければ高いほど、空室対策となり家賃収入が見込めるという理論で試算します。つまり、人気イコール収益への直接的効果が高いということです。

各設備のリノベーション相場

まずは目安となる各リノベーション箇所の費用を比較しましょう。ある程度条件を揃えないと比較として成立しませんので、2DKの物件をリノベしたという前提で相場を比較します。床や壁は原則すべてをリノベする前提で、キッチン・トイレ・浴室・洗面台は2DK相応の設備をリノベすると仮定した場合の相場です。

リノベーション価格相場

もちろん素材、デザイン、施工の難易度によって価格は上下しますが、基本的に水回りの中でも浴室やキッチンがもっとも大きな投資となります。水回りのなかでもトイレや洗面台はスタンダードなものであれば比較的安価に済むでしょう。そして床や壁はリノベの面積が大きい割にキッチンや浴室よりは安価に済みます。

各設備の収益アップへの効果

費用の規模感が掴めたところで次に効果を確認します。効果の測定の基準は「入居希望者からの人気の高さ」です。この測定は、at homeが2018年に発表したトレンド調査の結果を参考にします。同調査では、30歳未満の学生・社会人の部屋探しにおいて重要視される点が明かされています。

部屋を決めた理由において家賃や通勤・通学時間、間取りというのは当然上位を占めますが、家賃を下げることと立地に関してはリノベーションでどうこうなる問題ではなく、間取りもリノベーションとしては最大規模の出資となるため省きます。

調査の中で「現在の部屋探しにおいて最初から最後まで変わらずに重視した設備は何ですか?(複数回答)」という問いに対しての回答が以下の通りです。

現在の部屋探しにおいて最初から最後まで変わらずに重視した設備
表:at home トレンド調査を元に作成

これを見ると「バス・トイレ別」というのが断トツの1位で、2位が35.8%のフローリングでした。ちなみに調査対象は合計2,074名で、男性890名(43%)、女性(57%)です。男女比もほぼ同等で基準とするデータ量としては十分と判断しています。

各リノベの費用対効果とROIを具体的に試算

これでデータが揃いましたので、各リノベーション箇所の費用対効果とROIを具体的に計算してみます。実際に収益を計算することはできないので、at homeの設備調査の数値を費用にかけたものを収益と仮定しました。

各リノベの費用対効果とROIを具体的に試算

これはあくまで仮説ですが、計算結果を見る限り、フローリングが費用対効果においてもROIにおいても最良の数値を叩き出しています。次いでキッチンも負けず劣らずの効果を発揮することが分かります。ただし、上記のアンケート調査では「キッチン」という項目がなく、「2口以上のコンロ」と回答した23.3%をキッチンにあてはめています。ただ単に2口以上のコンロのキッチンに変えるだけなら当然60万円も費用はかかりませんが、リノベーションとは設備をグレードアップするもの、そして2DK相当の設備を前提条件としているため、60万円という金額で計算しました。

【結論】収益アップに繋がりやすいのはフローリング

最後に結論をまとめると、データが示している通り費用対効果もROIもナンバー1はフローリングです。また、効果的なリノベーションの定義にも、「高価過ぎるものや一部の人しか価値を感じない箇所」はリスクが高いという考えがあります。この文言も考慮すると優先的に投資すべきはキッチンよりフローリングです。

一方、逆に女性向けやファミリー向けの不動産を賃貸したい場合はキッチンに手をかける方が合理的でしょう。女性が料理をするという固定概念は古くなりつつありますが、統計的に女性の方がコンロの口数が多いキッチンを希望しているため合理的な戦略です。

とは言え、結局のところ女性やファミリー層にとっても、フローリングというのは毎日体が接触する部分であり、部屋の中で最も大きな面積を擁している箇所でもあるため、優先順位を付けるとすればフローリングが1位になります。

ちなみに全米不動産協会(NAR)は、不動産オーナーがフローリングをリノベーションすれば販売価格が購入時の106%になると報告しています。すなわち、買った時より高く売れるということです。またアメリカの大手不動産会社Capreitもフローリングをリノベすることで毎月の家賃が50ドルから100ドル上昇する発表しています。アメリカの話なので単純に日本に置き換えることはできませんが、入居希望者の印象においてフローリングが非常に重要な位置づけにあると言えます。