他の不動産投資より手堅い?賃貸併用住宅がサラリーマンにオススメな理由

景気の先行き不透明感や老後2000万円問題などお金に関わる問題がますます重くのしかかるこれからの時代、本業の他に別の収入源を持っておくことは、今後の人生設計を考える上でとても有益です。

本コラムの中で何度か紹介してきた国内不動産投資は、リスクが比較的少なくそれなりのリターンも望める投資方法で、かつ節税など制度面のメリットも多いと言われています。一方で、最初にまとまった額の資金が必要であったり、空室リスクやローン返済の負担などの不安要素もあり、サラリーマンには手が出しづらいと考える方も多いのではないでしょうか。

不動産投資と言っても多様な商品がある中で、弊社が特にサラリーマンの方に推したいのが、リスクを抑えて堅実に投資額を回収することができる「賃貸併用住宅」です。今回のコラムでは、サラリーマンが副収入を得る方法と、なぜ賃貸併用住宅がサラリーマンにオススメなのかを徹底解説していきます。

サラリーマンが副収入を得る方法〜投資と副業の違い

副収入を得る方法としてすぐに思い浮かぶのは「投資」や「副業」だと思いますが、本業で忙しいサラリーマンが取り組むには圧倒的に投資が向いています。

第一に、副業は実際に手を動かすことで収入を得る労働所得であることに対し、投資や資産運用は自分が直接働かなくても収入が得られる不労所得であるからです。少ない自由時間を切り売りしなくても自分の資産(お金や不動産)が稼いでくれるので、効率的に副収入を得ることができるのです。

第二に、「平成29年3月28日働き方改革実現会議決定」(※1)によって企業が以前よりも副業に寛容になってきたとは言え、まだすべての企業が社員に副業を認めている訳ではないからです。資産運用のための投資は税法上副業にはあたらないので、副業禁止の会社のサラリーマンでも取り組むことができます。
※1:首相官邸「働き方改革実行計画(本文)」(PDF)より

◼︎副収入を得る方法(代表例)

副業

  • インターネット:フリマアプリ、ポイントサイト、アフィリエイト、動画サイト
  • アルバイト:清掃、警備、ネットカフェ
  • 在宅ビジネス:PCでの事務処理、テレアポ
  • 創作活動:ハンドメイド作家、フォトグラファー、文筆活動

投資

  • 株式
  • 投資信託
  • FX
  • 仮想通貨

資産運用

  • 不動産
  • 太陽光発電

サラリーマンにとっての不動産投資のメリット

ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品である国内不動産は、大きなリスクは冒したくないけれどそれなりの見返りが欲しい人に適した投資先です。国内の不動産に投資するメリットとしては、以下の5つがあげられます

  1. 投資金額の融資が受けやすい
  2. 物件の管理を不動産会社に任せられる(他の投資商品と比べて手間が少ない)
  3. 節税ができる(所得税、住民税)
  4. 保険の代わりになる
  5. インフレに強い

サラリーマンがあくまで副収入を得ることを目的として不動産投資に取り組む場合は、「事業扱い」にならない規模(※2)を守ることが注意したいポイントです。資産運用の域を超えた事業規模になると、会社によっては副業禁止規定に抵触する可能性があります。
※2:(参考)国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」

投資先に「賃貸併用住宅」を選ぶメリットは?

マイホームと賃貸物件を併設した賃貸併用住宅も、不動産投資と呼ばれる商品のひとつです。ここからは賃貸併用住宅に特有のメリットを3つ紹介します。

  1. 住宅ローンを組める
  2. 節税ができる(固定資産税、相続税)
  3. 管理戸数が少なく手間やリスクを減らせる

住宅ローンを組める

住宅ローンは、投資物件を購入する際に広く利用される不動産投資ローンに比べ、金利面と税制面で優遇されています。住宅ローンは自分が住むための住宅を購入する場合にしか使えませんが、賃貸併用住宅は投資物件であると共に自宅なので、住宅ローンの利用が可能なのです。ただし、住宅ローンの適用には「建物の50%以上を自宅にする」という前提条件があるので、条件を満たすように設計する必要があります。

◼︎低い金利でローンが組める

住宅ローンを不動産投資ローンと比べると、融資金額の上限は低くなるものの金利が安く、審査が通りやすいので、サラリーマンが安心して融資を受けられる点がひとつのメリットです。

住宅ローンと不動産投資ローン

住宅ローンと不動産投資ローンで融資金額や審査の厳しさに差がある理由は、返済原資が異なるためです。住宅ローンは給与収入が原資であるため個人の年収や貯蓄金額が基準に達していれば審査をクリアできるのに対し、不動産投資ローンは賃貸経営で得られる利益=家賃収入が原資であるため、物件の収益性も厳しくチェックされます。

融資金額の上限が高いことは一見メリットのように見えますが、その分リスクも大きくなるということです。不動産投資を本業にしている方ならまだしも、サラリーマンが副収入を得るための投資で大きなリスクを取ることは避けるべきです。

関連記事:賃貸併用住宅は不動産投資ローンではなく住宅ローンにすべき理由 – 申請手順まで紹介

◼︎住宅ローン控除(減税)を適用できる

次に住宅ローンを使うことによるもう一つのメリット、「住宅ローン控除」について説明します。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、個人が住宅ローンを利用して住宅を新築・中古で取得・増改築した場合に、年末のローン残高の1%(2022年度以降0.7%)を所得税額等から最大13年間(※3)控除する制度です。例えば、年末のローン残高が3000万円であれば3000万円×0.7%=21万円の控除が受けられます(2022年度税制改正後)。
※3:新築の場合(中古住宅の場合は10年)

適用には以下の要件があります。長期優良住宅や省エネ基準への適合など環境性能によって控除対象限度額にも2000万円〜5000万円と幅が出ますので、詳しくは国土交通省の「住宅ローン減税制度の概要」と「令和4年度住宅税制改正概要」(PDF)をご参照ください。なお、2024年以降、省エネ基準に適合しない住宅は住宅ローン控除を受けられなくなるため、これから家を建てる予定の方は注意が必要です。

【住宅ローン控除の適用要件】

  • ローン利用者本人が居住すること
  • 借入金の返済期間が10年以上であること
  • 新築または取得の日から6カ月以内に入居し、適用を受ける年の12月31日まで継続して居住していること
  • 住宅の床面積が50平方メートル以上であり、かつ2分の1以上が自らの居住用であること
  • 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下(2022年度以降2000万円以下)であること
    (出典:国税庁「No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」

控除を受けるにあたっては、住宅ローンの年末残高証明書、建物の契約書、登記証明書などいくつかの書類を準備する必要があります。面倒に聞こえますが、サラリーマンであれば2年目以降は会社の年末調整時に一緒に手続きをすることができます。

節税ができる

賃貸併用住宅は自宅と賃貸住宅が同じ建物にあるという特性から、通常のマイホームより固定資産税や相続税を抑えられる可能性があります。

◼︎固定資産税が軽減される

土地や建物を所有している限り必ず納めなければならない固定資産税。賃貸併用住宅を経営する場合は土地と家屋が課税対象になりますが、自宅や賃貸住宅用の敷地は住宅用地と呼ばれ、固定資産税の評価額が減額される特例措置があります。

住宅用地は敷地が200平方メートル以下の部分とそれを超える部分で評価額が変わります。敷地は住宅の戸数で判断されるので、賃貸併用住宅では自宅プラス賃貸戸数分が特例の対象になります。

小規模住宅用地(住宅用地のうち200平方メートル以下の部分)
→固定資産税が評価額の1/6、都市計画税が評価額の1/3

一般住宅用地(住宅用地の200平方メートルを超える部分)
→固定資産税が評価額の1/3、都市計画税が評価額の2/3  

例えば、自宅1戸+賃貸2戸なら600平方メートル(200平方メートル×3戸)までが1/6の減額対象になります。つまり、自宅と賃貸部分のスペースがそれぞれ200平方メートル以内に収まるように設計された賃貸併用住宅は、自宅のみよりも固定資産税を抑えられるのです。

◼︎相続税を抑えられる

相続税の課税対象となる不動産(土地、家屋、農地、山林)のうち、不動産投資で論点になるのは土地と家屋です。相続税には各種控除があり、控除額を差し引いた残りの課税対象遺産の総額によって税率が変わります。相続する遺産が多いほど税率は高くなり、納める相続税が高額になる仕組みです。相続税を抑えるには、いかに土地と建物の評価額を抑えるかがポイントになります。
(参考:国税庁「財産を相続したとき」

賃貸併用住宅を相続する場合、相続税の負担を引き下げやすいと言われるのは、第一に相続する資産が不動産であること(これは不動産投資全般に言えます)、第二に自宅と賃貸住宅で課税率が異なることが理由です。

まず、不動産は現金よりも換金性や自由度が低いため、土地においては20%ほど、建物においては40〜50%ほど相続税評価額が低くなります。例えば1億円の資産を相続した場合、現金だとそのまま1億円の評価額になりますが、不動産(土地の時価6000万円・建物の時価4000万円)だと約6800万円の評価額になり、そのぶん相続税が下がる仕組みです。

さらに、所有地に建てた建物を人に貸している場合、その土地は所有者が自由に売買できない「貸家建付地」となり、土地や建物の評価額が低くなります。貸家建付地の評価は、以下のように算出されます。

貸家建付地の評価額=自用地としての評価額-自用地としての評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合
(出典:国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」

借地権割合は一般的な住宅地(市街地)で60〜70%、借家権割合は全国一律30%です。例として、自用地としての評価額1億円の土地建物の半分を賃貸併用住宅として利用した場合、「1億円- 1億円 × 0.6 × 0.3 × 0.5=9100万円」となり、評価額を900万円抑えることができます。したがって、単なるマイホームと比べると、賃貸併用住宅の方が建物全体の評価額が低くなるのです。

また、賃貸併用住宅が建っている土地は「小規模宅地等の特例」が適用できることも大きいです。 小規模宅地等の特例とは、土地を相続した場合に一定の要件を満たすと土地の評価額が50〜80%減額される制度のことを指します。賃貸利用の土地相続の場合、200平方メートルまでで相続後も引き続き賃貸事業を営んでいれば、評価額を50%に減額することができます。
(参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

管理戸数が少なく手間やリスクを減らせる

マンションやアパートなどの不動産投資物件を購入し、利益をあげていこうとすると、オーナーは複数の部屋を管理する必要が出てきます。管理会社にすべて委託することが可能であるとは言え、投資物件を増やせばその分手間は増えていきます。

賃貸併用住宅がサラリーマン家庭に良いのは、オーナーが同じ建物に住んでいるぶん目が届きやすく、管理する世帯数も限られるという点です。ただでさえ本業で忙しいのですから、副収入に係る部分はなるべく手間なく運用したいもの。賃貸戸数が少なければ初期投資も少なくて済み、管理が行き届いていれば空室リスクも低く抑えられます。

関連記事:賃貸併用住宅の空室対策を徹底分析―データに基づく15のアイデア

まとめ

本業の収入がきちんとあるサラリーマンは建設のための融資を受けやすく、時間が限られる中での物件管理も比較的楽で、節税にもつながる。それが賃貸併用住宅です。

マイホーム購入と賃貸経営を同時に叶えてくれる物件でもあり、かつ今後のライフスタイルの変化によって二世帯住宅に転用したり、賃貸部分や自宅部分のみ売却したりと、使い方を変えていける特長もあります。サラリーマン世帯が生活の安定や将来の備えとして副収入を得るのに適した投資先のひとつとして、検討してみるのもいいのではないでしょうか。

この記事を書いた人

矢澤佑規

・1982年10月7日生まれ
・専務取締役
・建築不動産業界歴20年
・不動産賃貸オーナー
【資格】
二級建築士、宅地建物取引士